16.現場に入りました

 久しぶりの投稿になります。積極的に活動した9月、色々アウトプットした10月と比較して、少し落ち着いて勉強しようと11月は市内で公開されているオープンレクチャーに最低週一回(多いときは週二回)通ったり本を読んだりしていました。土日は遠出を抑えて、NY郊外の名建築を見に行ったり、サンクスギビングではプリンシパルのファミリートリップに招かれたり。

 また、日本では学期末の忙しくなる直前のシーズンだからか、日本から知り合いが多く訪ねてくる月でもあり、週に4回日本からきた人と飲んだ週もあったくらい日本人とあった印象です。実は自分の指導教官含め日本の大学の生産システム系教授陣及びその研究者たちの一連の研究の一環として、インターン先であるGLUCK+ を取り次ぎボスであるピーターとの議論の機会を取り次いだりしました。

 そこで印象的だった議論は、AIAが定めたアーキテクトの権利関係の矛盾について。以前の記事にも書きましたが、施工の責任を持つのはアーキテクトであるにもかかわらず、アーキテクトは自身が保証している施工について何もわからないと言う矛盾に対して、米国の建築家は無自覚でありすぎるという事実。これは20世紀のアーキテクト像を後押しした建築家の防衛策とも言える施策でもあるのですが、数より質(コストパフォーマンスも含意)が重要になりつつ建築業界を考えた時にむしろ首を締めることになりかねない。既存の枠組みに対して80を超えた今でも疑問を持ち実際に行動して挑戦を続けるピーターはとてもかっこいい老人だなと改めて尊敬。お茶目な一面もあるピーターは平均30歳代の若い事務所みんなに愛されていて、先週あったバースデーは事務所みんなでケーキを作ったりムービーを作ったりしています。

 そして業務の方はというと、今まで取り組んでいたプロジェクトを引き続き続けながら、別プロジェクトの現場の方に放り込まれました。まさに「嵐に放り込まれる」と言う表現がぴったりなくらい、デザインフェーズとコンストラクションフェーズのスピード感と緊張感の違いをひしひしと痛感しています。朝7時現場集合、1日100 件以上のメール、触り慣れていないRevitのレイヤー管理、同時に2人以上の英語を聞き取らなければならないスピード感のある会話、汚い仮設トイレ、本オフィスとの電話での確認、etc。当たり前のことですが、建築現場では毎プロジェクトが発明で、劇的である、と言う事実が体に刷り込まれています。まだ一週間なのでわからないことだらけですが、今やっているのは構造コンクリートの打設が来週終わりそのあとからTopping Concrete(スラブ面を設計通りフラットにするための仕上げ用のコンクリート)を流し込むために凹凸のある構造コンクリート躯体を実測し断面図との誤差から必要コンクリート量を概算し別のコンクリート会社に発注する註文書を作成しつつ、Revitで浴室のタイルのマテリアルデータを更新したりなどです。おそらくスラブをフラットにしたらカーテンウォールの取り付けが待っていると思いますが、施工のプロセスとディティールは予想以上に関連していて、普段図面としてみる情報量以上に時間軸の情報量も意匠を決めるパラメーターになりうるんだなぁと思ったり。

 他にも仕事後もう10回以上行っているオープンレクチャーの内容や訪れた建築や日々実感する日米文化比較、3月に日本で行う展示の構想など書けるネタは無限にあるなぁと思いつつ、プロブロガーでもない僕はそっと編集を終えてNYの年末待ち遠しムードに浸りに行くことにします。笑

 写真は現場の朝の一コマ。ついに最終階に構造コンクリートを来週流し込むための鉄筋が到着しました。

MOCCHI

 


Tech-Tech-MOCCHI

NYの建築事務所でインターンしている建築大学院生のブログです。

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